パソコンを使用してのデスクワークを集中して続けていたりすると、腰が痛くなったり、立ち上がる時に腰がこわばっていてすぐに伸ばせなくなることってありませんか?
こちらの記事では、座っていると腰が痛くなってしまう理由や椅子に座る際に腰への負担を極力かけない座り方をご紹介いたします。
1.座っていると腰が痛くなる理由
1-1.避けられない腰への負担
人間は、地球上に生活して重力の影響を常に受けている関係上、少なからず体には負荷がかかっています。
その負荷は、体勢によって変化し、負荷が強すぎたり長時間にわたって負荷がかかってしまった時には体に痛みとして出てくることがあります。
イスに座る姿勢でも同様で、どんなに正しいといわれている姿勢で座っていても腰に対する負荷はなくすことはできません。
姿勢による腰にかかる負担を表したグラフがあります。
このグラフは、ナッケムソンという整形外科医が1976年に発表した 『The lumber Spine. An orthopaedic challenge 』という論文に記述されています。
これによるとまっすぐ立っている姿勢での腰の負荷を100とした場合、姿勢よくイスに座った状態で負荷は1.4倍になります。さらに前傾姿勢で座った場合には、1.85倍にもなるとされています。
高知大学で行われた「椎間板に加わる負荷の推定方法の研究」でも、ナッケムソンの論文とほぼ同様の結果が出ている 。
このことからも、椅子に座った状態では腰への負荷は避けられないことが分かります。
1-2.動かさないことで筋肉は酸素不足に
イスに座った状態で腰に負荷がかかってしまうということは、腰周りの筋肉は力を使っているということになります。
筋肉が力を使うということは、筋肉中には老廃物が溜まってくるということです。
本来であれば、血液やリンパ液などの体液循環で、老廃物は除去されて、新しい栄養と酸素が運ばれてくるわけです。
しかし、同じ姿勢を続けているということは、筋肉は動いていません。
人間の体液循環は、心臓のポンプ機能だけでは賄いきれません。筋肉を動かすことによって流れを起こす筋ポンプで補ってあげなければならないのです。
筋ポンプが働かない状態では、筋肉の緊張状態(力の発揮)が続いて、筋肉への血流が減少し筋肉は栄養不足、酸素不足、そんな中、疲労物質は生産され続けるということになります。
筋肉の疲労物質が蓄積することで、体には痛みとしてあらわれることになります。
1-3.体を動かす時間が必要
以上の二点から見ても、長時間のデスクワークでは、どんなに良い姿勢で座っていても腰に痛みが発生する可能性があるということになります。
ですので、お仕事の途中最低でも30分に一度くらいは椅子から立ち上がって、軽く体を動かして筋肉中の血流を促してあげる必要があります。
2.実は「楽な座り方」が腰を痛めている
楽だからといって、猫背気味になったり、浅く腰かけて背もたれに寄りかかったりしていませんか?
「姿勢による腰への負担」のグラフからわかるように猫背気味で座っていることで背筋を伸ばして座っているより1.32倍(185/140=1.32)の負担が腰にのしかかります。
浅く腰かけて背もたれに寄りかかった状態での数値がないのが残念ですが、布団やベッドで横になっている場合とは違い、腰の部分と背もたれに隙間があるためにその分の荷重をすべて筋肉で支えなければならないことを考えると、腰への負荷は相当なものになりそうですね。
自分では楽だと思っているこれらの姿勢が、実は腰を痛めているなんて皮肉なものですね。
でも、正しい姿勢ってずっと続けるのって疲れる感じがしませんか?
なぜ、正しい姿勢が疲れるのか?
これってなぜでしょう?
正しい姿勢が腰の負担が少なくて楽なはずなのに逆に疲れてしまうなんて変ですよね。
これは、悪い姿勢になるように毎日トレーニングしているからなんです。小さい頃からコツコツと毎日毎日悪い姿勢のトレーニングを続けた結果、悪い姿勢をキープできるように成長した結果なんです。
そのため良い姿勢をとるためには、今まで鍛えた筋肉と反対の筋肉を使って体を支えなければその姿勢を維持できないということなんです。
本来、良い姿勢を維持するのに筋力は必要ありません。悪い姿勢の方に引っ張る筋肉が発達しているためにそれに抵抗しつづけなければならないので、疲れるわけです。
3.なるべく腰に負担をかけない座り方
どのような状態でも腰には少なからず負担がかかってしまうので、「なるべく」とさせていただきますね。
腰の負担を極力なくすには、ポイントはただ一つ
骨盤をしっかり立てて、坐骨で座るということです。
寝ている姿勢以外では直立の状態が一番腰への負担が小さいわけですから骨盤を直立と同じ状態に近づければいいということです。
これだけなのですが、腰への負担はグッと減ります。
骨盤を立てて座るポイントをご紹介いたします。
股関節より膝の高さを低くする
正しい座り方として、このような図をみたことがあるかもしれません。
椅子に腰掛けた際に股関節を90度、膝関節を90度、足首関節を90度にするという図です。
この図は間違ってはいないのですが、私は正解とは思っていません。
関節は深く曲げれば曲げるほど血流は阻害されます。
真っすぐなホースとグニャグニャに曲がったホースではどちらが流れが良いか、すこし考えればわかると思います。
さらに股関節の曲がりが90度に近づくにつれて骨盤は後ろに倒れやすくなるのです。
ですので本来は股関節の高さより膝関節の高さを低くして、股関節の曲がり、膝関節の曲がりを緩やかにするべきです。
90度にこだわる必要はありません。
むしろ90度まで曲げない方が骨盤を立てやすく、血流の阻害も低く抑えられます。
・イスを少し高めに調節する。(かかとが少し浮いても大丈夫)
・骨盤をたたて座る。(背もたれはなるべく使用しない)
ただ、注意していただきたいのが良い姿勢を意識するあまり、骨盤を前に倒してしまわないようにしましょう。
骨盤が前に倒れてしまうと背骨の両脇の筋肉に大きな負担がかかり固くなるのと同時に椎間板への影響も現れやすくなります。
女性に多い反り腰ですが、一見座ったときに姿勢がよく見えてしまうのが特徴です。思い当たる方は注意が必要です。
4.骨盤の歪みを整える工夫
さて、ここまでお伝えしたなるべく腰に負担をかけない座り方は、骨盤の前後の傾きを意識した座り方です。
ここまでは自分で意識して正すことのできる座り方です。
先にお伝えしたように普段から悪い姿勢を維持するトレーニングを積んできた方は、悪い姿勢を維持する筋肉が発達してしまっています。
要するに筋肉のバランスが悪くなり、骨盤が歪んでいます。
本当の意味で腰に負担をかけない座り方を目指すのであれば、この骨盤の歪みを調整する必要があります。
ただ、この骨盤の歪みを自分で意識して真っすぐに維持できる方は、おそらくいらっしゃらないのではないでしょうか?
骨盤の歪み自体をはっきりと認識できる方もほとんどいらっしゃらないと思います。
座った状態で骨盤を調整するのに、当院をご利用のお客様には『骨盤調整ざぶとん』をお勧めしていますが、それがなくてもタオルで簡単にできます。
ここからは、タオルを使用した骨盤の調整法についてお話していきます。
タオルを使った骨盤調整
骨盤の歪みは前後の傾きと左右の傾き、さらにはそれが複合されたようなねじれを伴っているものもあり複雑です。
しかし、骨盤の歪みを取るということはそんなに複雑ではありません。
なるべく薄くてゴワゴワのタオルをご用意ください。
まずタオルを4つ折りにします。
次に骨盤を立てて座り、そのタオルを右のお尻の下、左のお尻の下に入れてみて、違和感なく座れる方を見つけます。
違和感というのは傾いている感じがするかどうかです。
ここで両方とも違和感を感じる場合は、4つ折りのタオルを2つ折りに戻して厚みを減らして、同じように左右で座り比べてみます。
タオル4つ折りでも2つ折りでもお尻の下に違和感を感じるという方は、左右の歪みは極めて少ないと思っていただいて構いませんので、タオルは必要ありません。
お尻の片側に厚みのあるものを敷いているわけですから、歪みのない骨盤であれば違和感を感じて当然なのです。
違和感を感じない方が異常があると思ってください。
どちらか一方に違和感を感じて、どちらか一方に違和感を感じないという方は、違和感を感じないで座れる側にタオルを敷いたままにしてください。
まずはその状態で3~5日過ごしてみてください。
そうすると、そのうちにタオルを入れていると違和感を感じるようになります。
違和感を感じられるようになったら、また左右で違いを試してみましょう。
もし両方に違和感を感じることができれば骨盤の歪みはうまく調整できたことになります。
ただし、長年の筋肉の癖は、一朝一夕ではなくなりません。すぐに元に戻ってしまいますので、小まめにタオルで歪みをチェックしてください。
5.まとめ
今回は、なるべく腰に負担をかけない座り方についてお話をしました。
今回のお話のポイントは
- 座った時の腰への負担は、直立の状態と比べると背筋を伸ばした状態でも1.4倍、前かがみになると1.85倍になる。
- 背中を丸めた楽な座り方が、実は腰を痛める原因になる。
- 腰に負担をかけない座り方のポイントは骨盤を立てること。
- 骨盤の左右の傾きはタオルを使って調整できる。
ということです。
ただし、長時間同じ姿勢でいることは、やはり痛みの原因になります。時々は立ったり、体操したりして、筋肉を動かすことは忘れないようにしてください。
では、ぜひあなたも今一度座り方を見直して、腰の負担を極力最小限に抑えるようにしてみてください。
合わせて、『椅子から立ち上がる時の腰痛!【原因と対策】』も参考にしてみてください。


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