「手術が必要かもしれません」
そう言われたとき、胸の奥がざわっとした方は少なくありません。
けれど同時に、
「このまま悪化するのも怖い」
「手術しないとどうなるの?」
そんな不安を、ひとりで抱えていませんか。
この記事は
手術を止めるためのものではありません。
そして
手術を急がせるためのものでもありません。
大切なのは、
今の自分にとって、何が順番なのかを整理すること。
そのためのページです。
手術が怖いのは自然なこと
まず最初にお伝えしたいことがあります。
手術が怖いのは、まったく自然な感情です。
60代以降の女性で、間欠性跛行(しばらく歩くと足がしびれ、休むと回復する症状)がある方は特に、
- 本当に良くなるのか
- 麻酔は大丈夫なのか
- 後遺症は残らないのか
- 再発しないのか
と、さまざまな不安を抱えます。
■ 麻酔の不安
全身麻酔という言葉だけで怖くなる方もいます。
「目が覚めなかったらどうしよう」と考えてしまうのも当然です。
■ 後遺症・再発の不安
[脊柱管狭窄症 手術 成功率」と検索すると、数字や体験談が出てきます。
けれど、その数字の裏側には「どの程度を成功とするか」という基準の違いがあります。
完全に痛みがゼロになる人もいれば、「歩ける距離が伸びた」という人もいます。
ネット上には失敗例が強く残りやすく、それが恐怖を増幅させることもあります。
■ 家族との温度差
家族は「早く手術したほうがいい」と言う。
でも自分は怖い。
その温度差も、つらいですよね。
「心配してくれている」と分かっていても、気持ちが追いつかないこともあります。
怖いと思う気持ちは、弱さではありません。
体を守ろうとする本能です。
まずは脊柱管狭窄症そのものを整理したい方は
👉 脊柱管狭窄症とは?不安を整理し「歩ける未来」を取り戻すために

手術は「最後の手段」ではない
よく、
「手術は最後の手段ですよね?」
と聞かれます。
実はこれは、少しだけ誤解があります。
■ 必要な人には、とても有効
脊柱管狭窄症の手術は、適切なケースでは、症状改善に大きく貢献します。
神経の圧迫を直接取り除く方法は、保存療法ではできないアプローチです。
だからこそ医療現場では、一定の基準に基づいて手術適応が判断されます。
■ 保存療法と対立させない
一方で、脊柱管狭窄症 保存療法 も重要な選択肢です。
・運動療法
・姿勢改善
・生活習慣の調整
・リハビリ
・ブロック注射
これらは「手術を避けるため」ではなく、体の状態を整えるための方法です。
手術か保存療法か、白黒で考える必要はありません。
■ 判断基準は「状態」と「生活の質」
判断の軸は、
- どの程度神経が圧迫されているか
- 症状の進行度
- 日常生活の制限の強さ
- ご本人の希望
このバランスです。
「最後かどうか」ではなく、今その段階かどうか。
ここが大切です。
手術を受けるべきケースとは
ここは慎重にお伝えします。
一般的に医療現場で、手術が強く検討されるのは、
■ 排尿・排便障害などの神経症状
神経が強く圧迫されると、膀胱や直腸の機能に影響が出ることがあります。
これは早期対応が必要な場合があります。
■ 日常生活が著しく制限されている
- 数十メートルしか歩けない
- 立っていられない
- 外出がほぼできない
生活の質が大きく低下している場合。
■ 保存療法で改善が乏しい
一定期間、適切な保存療法を行っても改善が見られない場合。
ただしここで重要なのは、
「保存療法をやったかどうか」ではなく
「どの質で、どの順序で行ったか」
です。
焦らず、整理が必要な部分でもあります。
ここは自己判断せず、必ず医療機関で確認してください。
逆に「手術を受けたいのに勧められない」場合
ここは、とても大切なポイントです。
最近は、
「もう手術したいのに、まだ適応ではないと言われた」
という相談も増えています。
なぜ医師は慎重になるのでしょうか。
■ 画像所見と症状のズレ
MRIで狭窄が見えても、症状の強さと一致しないことがあります。
逆に、画像上は軽度でも症状が強い場合もあります。
手術は「画像」ではなく症状と生活への影響で判断されます。
■ 年齢・全身状態
高血圧、糖尿病、心疾患など、全身状態がリスクに関わることもあります。
脊柱管狭窄症の手術費用だけでなく、手術が体にどのくらいの負担をかけるのか、そして術後の回復にどれほど時間が必要かといった点も含めて判断されます。
■ リスクとリターンのバランス
手術は万能ではありません。
- しびれが残る可能性
- 再狭窄
- 術後の回復期間
期待できる改善幅とリスクの差が小さい場合、医師は慎重になります。
それは「放置している」のではなく、
今は順番ではない
という判断の可能性があります。
大切なのは“手術かどうか”ではない
本当に大切なのは、
「手術をするかどうか」
ではありません。
■ いまの段階はどこか
- 症状は進行中か
- 波があるか
- 生活はどれくらい制限されているか
■ 何を整えてから判断するか
筋力
姿勢
歩行パターン
生活負荷
これらを整理せずに「手術しないとどうなる」と不安になると、決断が焦りに変わります。
順番を整えることで、選択は落ち着いて見えてきます。
詳しくは
👉 「脊柱管狭窄症|3ヶ月で変えるための順序(最重要)」
で解説しています。

急ぐ前に、整理する。
それが後悔を減らします。
手術を考える前に整理しておきたいこと
これは、とても実践的な部分です。
■ 歩ける距離
最近は何メートル歩くとしんどくなるのか。
どのくらい休むと楽になり、その後はどれくらい歩けるのか。
数字でなくても構いません。「家から出て何個目の交差点まで歩ける」とか「あのお店までは何とか歩いて行ける」とかで大丈夫です。
■ 痛みやしびれの波
- 朝は強い
- 夕方に悪化する
- 天候で変わる
波を知ることは、状態を知ること。
■ 生活で困っていること
スーパーに行けない
旅行が不安
階段が怖い
困りごとは、治療目標のヒントです。
■ 記録の重要性
メモをつけるだけで、
見え方が変わります。
「悪くなっている」と思っていたけれど
実は波があるだけ、ということもあります。
記録は、希望を守る道具です。
脊柱管狭窄症の手術をどう考えればいいのでしょうか
ここで少し、整理します。
■ 手術をしないと、症状はどうなっていくのでしょうか?
すべてが急激に悪化するわけではありません。
進行がゆるやかなケースもあります。
ただし、神経症状が進む場合は注意が必要です。
だからこそ、
「放置」ではなく
「観察と整理」が大切です。
■ 手術の成功率はどのくらい期待できるのか
「脊柱管狭窄症の手術の成功率はどのくらいですか?」
これは、とても気になるところですよね。
一般的な報告では、腰部脊柱管狭窄症の手術後に
- 足の痛みやしびれが軽減した方はおよそ70〜80%前後
- 歩行距離が伸びたと感じる方も60〜80%前後
- 手術を受けて「よかった」と感じている方は約70%前後
といったデータが示されています。
これらはあくまで研究上の平均値であり、年齢や症状の期間、体力によって結果は大きく異なります。
数字だけを見ると、「成功率は高い」と感じるかもしれません。
ですが、ここで大切なのは
“成功”の意味をどう捉えるかです。
多くの研究では、
- 痛みがゼロになる
- まったく元の体に戻る
ことを成功としているわけではありません。
「歩ける距離が伸びた」
「外出が楽になった」
「夜眠れるようになった」
そうした生活の質の改善を成功としています。
つまり、手術は“元通りにする治療”というよりも、生活を取り戻すための治療と考えられています。
もうひとつ知っておきたいことがあります。
長い期間、神経が圧迫されていた場合、圧迫を取り除いても、しびれが完全に消えないこともあります。
また、数年後に別の部位が狭くなり、再び治療が必要になるケースもあります
(再手術率は5年以内で10〜20%前後という報告もあります)。
だからこそ、
成功率という数字は「希望の材料」にはなるけれど、
それだけで決断するものではない。
という視点が大切です。
同じ「80%改善」でも、
・100メートルしか歩けなかった方が500メートル歩けるようになった
・10メートルが50メートルになった
では、感じ方はまったく違います。

大切なのは、自分にとって、どこまで改善したら“納得”と言えるのか。
成功率は平均値です。
でも、あなたの未来は平均ではありません。
数字を知ったうえで、「私は、どこまで歩けたら嬉しいのだろうか」と考えてみる。
それが、いちばん大切かもしれません。
それが、焦らない選択につながっていきます。
■ 手術にかかる費用と、知っておきたい現実的な負担
「脊柱管狭窄症の手術費用はどのくらいかかるのか?」
これも、とても大切なお話ですよね。
まず前提として、脊柱管狭窄症の手術は健康保険が適用されます。
一般的な自己負担割合(1〜3割)に応じて支払額が決まります。
おおよその費用の目安
術式や入院期間によって差はありますが、目安としては次のように言われています。
● 除圧術(神経の圧迫を取り除く手術)
- 総医療費:約80万〜150万円前後
- 3割負担の場合:約20万〜45万円前後
● ボルトや金属を使って背骨を安定させる手術(固定術)
- 総医療費:約150万〜250万円以上
- 3割負担の場合:約45万〜75万円前後
※あくまで一般的な目安で、病院・術式・入院日数により変わります。
高額療養費制度
日本には「高額療養費制度」があります。
月ごとの自己負担額には上限があり、年収に応じておおよそ以下の範囲に収まることが多いです。
- 一般的な所得層:約8万〜10万円台+α
- 住民税非課税世帯:さらに低く設定
そのため、実際の自己負担額は、想像より抑えられるケースも少なくありません。

ただし、費用は“手術代だけ”ではない
ここがとても大切です。
考えておきたいのは、
・入院中の差額ベッド代
・術後のリハビリ通院
・交通費
・仕事を休む期間
・家族のサポート負担
つまり、
金額だけでなく、「生活への影響」も含めて考える必要がある
ということです。
体への現実的な負担
手術は一日で終わりますが、回復は一日では終わりません。
脊柱管狭窄症の手術は、安全性が高まっているとはいえ、
・数日〜2週間程度の入院
・数週間〜数か月の回復期間
・術後の違和感や一時的な痛み
といった経過をたどることが一般的です。
特に高齢になるほど、体力の回復に時間がかかることもあります。
だからこそ医師は、
「手術ができるかどうか」だけでなく、
「手術後を乗り越えられるかどうか」も含めて判断します。
お金の問題は、遠慮せず相談していい
費用の話は、聞きづらいものです。
けれど、
- 医療ソーシャルワーカー
- 病院の相談窓口
- 地域包括支援センター
など、支援制度を案内してくれる場所もあります。
不安を抱えたまま決める必要はありません。
まとめ
- 手術費用は保険適用
- 高額療養費制度で上限がある
- 術式により自己負担は数万〜数十万円台
- 本当の負担は「生活全体」で考える
手術を考えるとき、費用は大切な現実のひとつです。
でもそれは、「怖くなるための情報」ではありません。
整理して知っておくことで、選択は少し落ち着きます。
焦らなくて大丈夫です。
数字を知ったうえで、あなたの生活と照らし合わせていきましょう。
手術を前に、よくいただくご相談
次の一歩
決断を急がなくて大丈夫です。
手術も選択肢のひとつ。
保存療法も選択肢のひとつ。
でもその前に、
・今の状態を整理する
・情報を偏らせない
・焦りで決めない
それが大切です。
歩ける未来は、ひとつではありません。
今はただ、
決断の前に、整理をする。
それが、後悔を減らす一番の近道です。
もし、
- 家族との温度差に悩んでいる
- 医師の説明をどう整理すればいいか分からない
- 手術が怖いけれど、このままも怖い
そんなときは、整理の時間を持つことも一つの方法です。
強く決めなくていい。
止めなくていい。
急がなくていい。
あなたの歩幅で、歩ける未来を考えていきましょう。
決断の前に、整理をする。
それが、後悔を減らす一番の近道です。
当院は、その整理をお手伝いする場所でありたいと思っています。

